本を食べる。

若手教員の読書ブログ 兼 教材研究とか

幸せとお金

あなたは幸せですか、と聞かれたら

 あなたはどう答えますか?2014年に各国の「幸福度」を調べた結果、日本は先進国の中で最下位だったそうです。

 

これほどたくさんのモノにあふれており、毎年多くの外国人観光客が訪れる国なのに、どうしてそこに住む人々は幸せを感じられないのか。

  

 その原因の一つに「お金の使い方が間違っている」ということを指摘したのが今日の本です。

中くらいの幸せはお金で買える (単行本)

中くらいの幸せはお金で買える (単行本)

 

  著者の藤原和博さんは都内で初めて中学校の民間人校長となったことでも話題となった方で、今は教育改革実践家としても活動されています。

 そんな人が語る「お金」そして「幸せ」とは、どのようなものなのでしょうか。

 

幸せには3種類ある

 タイトルにも「中くらいの幸せ」とあるように、幸せには「大・中・小」の3種類があります。

〇小さい幸せ

  • 席を譲ったときに「ありがとう」と言われた。
  • 初めて逆上がりができた。
  • 赤ちゃんを抱いて優しい気持ちになった

こんな風に、瞬間瞬間に感じる幸せが小さな幸せとして挙げられており、基本的にお金とは無関係です。

 

それに対して

〇大きな幸せ

これに関しては人によって中身が大きく違います。いわば「長年の夢が叶う」というやつで、「お金があれば叶う」というものではありません。

 

中くらいの幸せはこの二つの間にあるものであり、それはお金で買うことができる、あるいは増幅できるものである、ということを紹介するのが本書になります。

 

18個の具体的なお金の使い道が紹介されているのですが、そこには一つの原則があります。

 

「人との絆を結ぶ物語にお金を使う」

 

読み進める中で特に気になった1つを紹介します。

 

いいモノを買う

自分がどんなものを使っているのか、友人や取引先との雑談の中で自然に話題になることがあります。そういう時、「質のいいモノを長く使っている」とか「買った時の物語がオモシロイ」ということが、相手にどんな印象をもたらすかご想像いただけると思います。

いいモノ、欲しいですよね。でも値段を見てあきらめる、なんてことは良くあります。

買おうか、どうしようか、迷った時は「そこに物語があるか」という視点を取り入れてみてはどうでしょう。

 

いいモノを買う良さとはなにか、簡単にまとめると

 

・いいモノを選ぶときに「自分の価値観」が反映される

・長年使うことで物語が生まれる

・それを人に語ることで絆が生まれる

 

例えば、ニトリのコップより、旅行先で少し奮発して買ったコップのほうが愛着も沸くし、人に出したときに話のタネにもなりますね。

 

ここで大切なのは、「ブランド品を買え」ということではない、ということです。

 

もちろん大量生産のものと比べブランド品は「いいもの」であることは間違いないのですが、

それを選ぶときに「自分の価値観」が反映されているのかということが大切です。

 

 

最近はネットを通じて、多くのレビューなんかも見れるようになりました。こうした他人の評価を判断基準にしてしまうことも、「ブランド品を買う」ということと変わりない、と語られています。

 

「みんな一緒がいいよね」

「物がたくさんあるほうが幸せだよね」

「リビングにテレビはあって当たり前」

こうした日本的な価値観や、常識も自分でモノを選ばない姿勢につながっています。

 

自分で考えることを放棄して、他人の価値観や、そのブランドネームで物を買うことを続けていると、自分なりの価値観や、審美眼が育ちません。

 

子どもがまず100円単位のお金の使い方をマスターして1000円台のお金の使い方も上手になるように、一万円、五万円、十万円・・・百万円と少しずつ高いモノを買っていく練習をすればいいんです。

車を買うとき、家を買うとき、普段は節約を意識しているのに、いらないオプションまでつけてしまう、なんてことはよくある話ですが、これも、お金の使い方を練習していないから、言い換えれば、

「自分の価値観」が完成されていないから

起こる話なのです。

 

お気に入りの靴を買おう

自分が何が好きなのか、なにに重きを置くのか、「いいモノを買う」ことを通して「自分とはどんな人間なのか」を問いかけていく。

 

「いいモノを買って自慢しあう」わけでなく、「いいモノを買った『自分』」を語る

 

だからこそ、人とのつながりが生まれる。

 

5万円以上のモノなんて、車をのぞいたらギターくらいでしょうか・・・

ちょっといい革靴でも探しに行こうと思います。